「なにか残したかった」といって小説をかいたくせに、 ふつーの文も書いてみる。(作文か?) その日、きっと一機目の衝突から二機目の衝突の間に、 私は二階から、一階の台所へコップを洗いに行きました。 そこには父がいて、見ていたテレビが、 空を背景に煙をふく一本のビル でした。 アナウンサーの言葉で飛行機がぶつかったのだと知り、 思ったのは、「事故による衝突」。 ヘリコプターが墜落したり、電線にひっかかったりする事故があるのだから。 と、その映像の中に、新たな機体が飛び込んできました。 素通りした、と思ったその機体は、くるっとまわって煙を上げていなかった もう一本のビルの、一本目のビルより低い位置に衝突。 そのときの様子は小説に書いたとおりです。赤い風船が膨らんで、 黒い煙を撒き散らす・・・。 映像を見ている間、こういった「状況を表す単語」をしっかり考えていました。 日記かなにかに書く気まんまんで。 はじめに「ニューヨークのツインビルにジェット機がつっこんだ」と聞いて、 「神風特攻隊+いつぞやのルパン三世の映画」と思いました。 「神風特攻隊」については、小説の方でも書きましたが、 「いつぞやのルパン三世の映画」というのは、超高層ビルが爆破されて崩れ落ちる、 というものです。 二本のビルの間に、振動を吸収する大きなふりこがついている、という構造で、 規模は貿易センタービルなど遠く及ばないものですが(なにせ、一つのフロアに 球場やらグラウンドやらが、いくつも入っちゃってるようなビル・・・)、 破壊を受けた二本のビル、という点で印象が重なりました。 そのあとのニュースで、つっこんだのがハイジャックされた旅客機であったこと、 他の建物も攻撃されていたことを知りました。 そして、ビルが本当に倒壊してしまったという情報も入ってきました。 ルパン三世みたいだ、と思いはしたものの、本当にビルが崩れる、とは思って いなかったようです。 「すごい報道やね」と母親に言ったら、 「世界大戦になるといかんからね」 と返されドキリとしました。 実際に戦争にあったことなどはないけれど、「戦争なんてとんでもない!」という 思いは、歴史や世界史で習って、 本で戦災者や被爆者の話を読んで、強くあったから。 世界大戦になどなったら、どれだけの人が不幸になるのだろう? この、ビルにいた人たちだけで、日本であったビル火災などとは 比べ物にならない犠牲者が出ているだろうに。 小説の中の土波や火波とは違い、私が起きていたのは、たかだか一二時半までです。 翌日は、文化祭でいつもより登校が遅くていいとはいえ、私は徹夜ができない人 だったので。 その間に見たニュースでとても印象に残ったのは、 事件のことを聞いて大喜びする人たちがいたことです。 人がたくさん死んだと聞いて、手を叩いて踊って喜ぶ人たちがいたことです。 その人たちにとって、アメリカという国は「そうしたくなる」だけの 国だったのかもしれませんが・・・ 私は、事件に巻き込まれたことも、親類の死に目にもあったことのない 平和な、平和な、「辛くてたまらないこと、苦しくてたまらないこと」は 本やテレビでしか知らない人間です。 人がたくさん亡くなったと聞けば、悲しい、としか思えませんでした。 以上が、事件当日に考えていたことです。 そして、しばらくしてから考えたのが、 「自分はなんで生きているんだろう」でした。 なにごとも起こらない。自分はこれからも生きていく。 そう信じて疑わなかった人たちが乗っていた飛行機にハイジャック犯は現れ、 そう信じて疑わなかった人たちがいるビルに、飛行機がつっこみ、 そう信じて疑わなかった人たちの頭上から、がれきが降りました。 そう思うと、その人たちと、自分になんの差があるのだろう、と。 その人たちが死ぬかわりに、自分が死ぬ可能性だっていくらでも あったのだろう、と。 これは、この文章を書いている最近のことですが、 台風や地震、津波の被害を受けて苦しんだ人たちがいます。 けれど、うちは家が揺れてびっくりした程度で、棚から物が落ちることすら ありませんでした。 罪を犯したわけでもないのに、突然死んでいく人もいれば、 反対に、なにかいいことをしたわけでも、しようとしているわけでも ない人間が、とりあえず、生きている。 環境変化による自然淘汰により、動物の中で生き残るのは その環境に適応してみせた「強い」生き物。 自然が、同じ、または別の種族が、「弱い」どうぶつをふるいにかけ 強いものがのこるよう、まびいていく。 人間はどうだろう? 人間も弱肉強食であるべきだ、なんて(るろ剣の誰かのような)ことを 言いたいのではありませんが、 人間で生き残るのは、「能力」や「気持ち」ではなく、 単に「運」のある人、なのかなぁ、なんて・・・。 事件や事故に遭っている人は、たくさんいるのに。 社会貢献のできることをすれば、「生き残っている」ことへの 疑問や罪悪感はとけるのだろうか・・・。 って、途中から「911語り」じゃなくて「生きること」語りになってますね(汗 911を語ろうと思って派生した内容、ということで、ご了承ください。 では、以上で「911語り」を終わります。 ――-――---------------------------- 今年はあまり、911の話聞かなかったなぁ。(2004(H16)9.11sat) |
1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5 ・ 911語り |