「ヴォルフ! スイカ食べようぜ、スイカ!」 「スイカ、だと?」 ユーリが声をかけると、ヴォルフラムは眉根にしわをよせた。 「そ。コンラッドが持ってきてくれたんだ。お前も毎年食べてるんだろ?」 「ふんっ。そんな怪しげなもの、ぼくは食べたことなんてないぞ」 あやしげ!? や、やっぱり眞魔国でも青いスイカは規格外なんですか――っ!!!!!? と、叫びたくなるのをコンラッドの手前ひっしに押し殺す。 け、けど、あやしげって…… い、いや、コンラッドが、あやしいものをおれに食べさせるはずが…… 悩むユーリの隣の席に、どういうわけか、ヴォルフラムがどっかり腰を下ろした。 「ヴォルフ?」 「まぁ、ユーリがどうしてもというのなら食べてやらないこともないぞ。 スイカとやらはユーリがいた場所の果実なのだろう? つきあってやる」 ああ、そういうことか。 ユーリはヴォルフラムの発言に納得がいった。 ヴォルフラムは、スイカが「地球の食べ物だから」あやしげだと言ったのだ。 ユーリが初めて血盟城にきたとき、食用牛に角が5本あると聞いておののいたように。 同時に不安感もぬぐわれていく。 そうだよ。眞魔国の牛は角が5つに胃が8本。その他にも眞魔国独特の食料を いくらでも腹にかきいれてきたではないか。 青いスイカくらいに、今更とまどってどうする!! きっと、コンラッドが地球から持ってきた種でつくった、なんていうから、いまさら 驚くことに―― ……やっぱ、「もともと眞魔国にある青いスイカ」よりヤバイ物……? ユーリが無限ループのように悩んでいると、ヴォルフラムがコンラッドに声をかけた。 「コンラート。なにをかたまっている。ぼくにもスイカをよこせ」 コンラッドは一瞬驚いたような顔を見せたが、すぐにくすりと笑って ヴォルフラムの前にもスイカの乗った皿と先割れスプーンを用意した。 「ユーリ。いつまで立ってるんだ?」 「あ、今すわるよ」 なんだか不機嫌そうなヴォルフラムに促され、ユーリは椅子に戻った。 今、二人は初めての青スイカに挑むっ! |