続・眞魔国のスイカ事情 ページ3
「ヴォルフ! スイカ食べようぜ、スイカ!」
「スイカ、だと?」
 ユーリが声をかけると、ヴォルフラムは眉根にしわをよせた。

「そ。コンラッドが持ってきてくれたんだ。お前も毎年食べてるんだろ?」
「ふんっ。そんな怪しげなもの、ぼくは食べたことなんてないぞ」

         あやしげ!?

 や、やっぱり眞魔国でも青いスイカは規格外なんですか――っ!!!!!?
 と、叫びたくなるのをコンラッドの手前ひっしに押し殺す。
 け、けど、あやしげって……
 い、いや、コンラッドが、あやしいものをおれに食べさせるはずが……

 悩むユーリの隣の席に、どういうわけか、ヴォルフラムがどっかり腰を下ろした。
「ヴォルフ?」
「まぁ、ユーリがどうしてもというのなら食べてやらないこともないぞ。
 スイカとやらはユーリがいた場所の果実なのだろう? つきあってやる」

 ああ、そういうことか。
 ユーリはヴォルフラムの発言に納得がいった。
 ヴォルフラムは、スイカが「地球の食べ物だから」あやしげだと言ったのだ。
 ユーリが初めて血盟城にきたとき、食用牛に角が5本あると聞いておののいたように。

 同時に不安感もぬぐわれていく。
 そうだよ。眞魔国の牛は角が5つに胃が8本。その他にも眞魔国独特の食料を
いくらでも腹にかきいれてきたではないか。
 青いスイカくらいに、今更とまどってどうする!!

 きっと、コンラッドが地球から持ってきた種でつくった、なんていうから、いまさら
驚くことに――
 ……やっぱ、「もともと眞魔国にある青いスイカ」よりヤバイ物……?

 ユーリが無限ループのように悩んでいると、ヴォルフラムがコンラッドに声をかけた。
「コンラート。なにをかたまっている。ぼくにもスイカをよこせ」
 コンラッドは一瞬驚いたような顔を見せたが、すぐにくすりと笑って
ヴォルフラムの前にもスイカの乗った皿と先割れスプーンを用意した。
「ユーリ。いつまで立ってるんだ?」
「あ、今すわるよ」
 なんだか不機嫌そうなヴォルフラムに促され、ユーリは椅子に戻った。

 今、二人は初めての青スイカに挑むっ!

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