第1話 放課後の校庭8
「ったた……ぶつかったのはごめんなさい。治療してもらったのは
ありがとーございました! 俺もう大丈夫だから帰るよ!」
 不機嫌そうに言う土波。痛いところを「なんとなく」でつっつかれては、
そりゃぁ怒るだろう。

「そうか、じゃぁこれ返す」
 言って水波が、スッと差し出したのは土波のいつものはちまきだった。

 司は受け取ろうと手を伸ばす。
 と、水波がそれを後ろに引いた。
 土波の手は思わずそれをおいかけ……

 どたんっ! がしゃしゃんっっ どっ……

「いったぁー……。ご、ごめん、水波さん、大丈夫?」
 土波はベッドから落ち……水波の上に落ちてしまった。

「けど水波さんが悪いんだよ。突然手をひっこめたりするから」
 土波は立ち上がろうと床に手をついた。

 しかし、それより先に、





 ぎゅっ……


 水波は、何も考えていなかった。
 何も考えず、ただ、何かにしたがって、

 土波をだきしめていた。



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