天下一品! 幼少編!? ページ7
 
「真野。ちょっと待て!」
「わわっ!?
 わ……わざわざ追ってきたんですか? 瞬間移動まで使って」
 いきなり目の前に現れたかきのに本気で驚いた真野だったが、
すぐに平静を取り戻した。
「お前に聞きたいことがある」
「なんですか、やぶからぼうに……」
 真野はそっぽを向いて言った。
 男同士が見つめ合って熱く語り合ったりするのが、この場面にふさわしくないことは
確かである(この場面に限らない気もするし……)。
「梨野を戻す方法を教えろ!」
「知るかそんなの」

 ……………………

 真野のあっけない即答に、沈黙が訪れた。
「……お前もしかして、ホンッキで戻す方法知らなくて、小さくなった梨野
さらって、そのまま育てるつもりだったのか?」
「そうですねぇ……、今の梨野さんが6歳で、今の私が19。梨野さんが
もとの17歳になるには11年かかるわけですから、私は30代突入……
 そんなの嫌ですよ」
「じゃあ、なんで……」
「方法は知らないと言いましたが、絶対戻らないと言った覚えはありませんよ」
「……?」
「私が梨野さんを小さくしたのは、私を兄と思ってくれていた方が、
連れ出しやすいと思ったからです。
 早ければ明日、遅くても1週間で梨野さんはもとの17歳に戻ります」

    ⇒ ⇒ ⇒ ⇒

「――だそうだ」
 梨野家に帰ったかきのは、先に戻っていた梅野たちに、真野の言っていたことを
話した。
「なーんだ。じゃ、安心じゃないの」
「あっさり言うけどさー……その戻るまでの間、お前に梨野、預かってもらうぜ」
 明るく言う緑野に、かきのはため息を交えて言った。
「ええっ!? ちょ、ちょっと待ってよ! うち両親がいるのよ!
 無理に決まってるじゃない」
「それはそれ、隠し子だとかいろいろごまかし方は……」
「それ、ごまかしにならないと思うぞ」
 慌てる緑野に、つっこむ梅野。
 かきのは再びため息をつく。
「小さくなってる梨野の面倒、オレにみろって言うのかよ? 小さくっても
梨野は梨野なんだし……」
「魔が差すかもしれない、ってことか?」
「はっきり言うな!」
 梅野の言葉に、かきのは顔を赤くして怒鳴る(図星らしい)。
「……梨野、一人で大丈夫だよ」
「へっ?」
 だんまりを決め込んで、ことのなりゆきを眺めていた梨野がぽつりと呟いた。

戻るBACK  ・ NEXT進む

本編目次に戻る
トップページ