第1話 放課後の校庭
 生徒会室……
 そこに二人の少年の姿があった。

 一人は生徒会長、天波空〔あまなみ そら〕(中3)。
 長い神秘的な紫の髪と瞳をもった少年だ。

 もう一人は、生徒会会計土波景〔つちなみ けい〕(中1)。
 黒い髪に白いはちまき。幼さを残したあどけない顔……。
 その顔は今、不安にゆがんでいた。

「天波……先輩?」
 ふるえる声で尋ねる。

 目の前の、不思議な輝きをもつ紫の瞳に。

 自分のうつった、そこに。

「土波……」
 天波も彼に声をかけた。

 自分と、壁との間に閉じ込めた彼に。

「えっと……あの……その……」

 言うべきことが見つからず、うつむく土波を、天波は自分にむかせた。
 頬にふれられ、どきりとする土波。
 まるで、おびえた少女のような目になって。

「土波は……」

 天波は言い、

「本当に、女の子みたいにかわいいな」


 そっと、彼の唇をうばった。


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