<最初に言っておくと・・・>
びみょ〜にマグネスでトリアメ。
あっ、この話の中ではマグネスぽいってだけで、自分ネスマグ推奨者ですけどね。
書いてる奴にそんな思想があるものだから、マグナがかわいくなるのなんのって……
結論:
主人公は純粋、単純、オバカにかぎる!
これは、とある召喚師の青年の、波乱に満ちた日々の記録である……
マグナの トリスに 巻き込まれ日記
「ねぇねぇ、マグナ」
「何だい、トリス?」
ギブソン・ミモザ邸の応接室で釣竿を磨いていたマグナは、
後ろから声をかけてきた自分とまったく同じ境遇を持った相手に振り向いた。
<注1:パラレル設定ですので、この二人が同時に存在していても
気にしないで下さい>
振り向くと同時に、
ぷす、とほっぺたに何かが刺さる感触が……
「やーい、ひっかかった、ひっかかったー♪」
「トリスぅ……」
子供じみたいたずらの成功に喜ぶトリスに、マグナはこれまた子供のような
拗ねた眼差しを向けた。
結局、二人とも子供っぽいらしい。
声をかけて相手を振り向かせ、振り向いた相手のほっぺたにあたるよう
指をスタンバイしておく、というこのいたずらは、ミモザ先輩に教わって以来
トリスのブームだった。
ネスティなどは一度ひっかかっただけで(その一度だけでも
かなり屈辱だったらしいが)対処方法を心得てしまったのだが、
マグナは未だに百発百中。トリスのいいからかい相手にされていた。
しかも、最近は指だけでなく様々なものがスタンバイされるようになってきている。
今回は手のりサイズのレオルドプラモ(SD。ドリル装備)で、
『オメデトウゴザイマスあるじ殿! 自己べすと、更新デス』
と、本物よりかわいらしい、けれど本物そっくりな
うれしそうな声を発していた。
<注2:釣りが大漁の時、ベストでもなんでもないのに
こう言ってくれるレオルドの声は、本当にうれしそうなんです。
おおげさなほどに……>
「なぁ、トリス、ほんっといい加減にしてくれよな。俺、
これやられるたんびに自分が情けなく思えてくるんだから」
「そんなのひっかかるマグナが悪いんじゃないの。髪形だけでなく、
こういうところもネスを見習ったら?」
「いや、この髪はたぶん、切ってくれる人が同じだから似るんじゃないかと……」
「そうなの?」
「さぁ?」
「まぁ、それは変な妄想抱いた人の勝手な
想像ということにしといて……実はね、マグナにききたいことがあるの」
レオルドプラモを近くの棚の上に置いたトリスは、急に真剣な
面持ちになってマグナを見つめた。
「ききたいこと?」
マグナは釣竿を抱えたままでトリスを見つめ返す。
ついさっきまでのからかい顔とは180°違うトリスの態度に、
自然とマグナの顔も引き締まった。
トリスは、重々しく口を開き、こう言った。
「イオスのことだけど、どう思ってる?」
「はぁ〜?」
マグナの脳内にて、シリアスな雰囲気、霧散。
マグナは額がちぢむほど眉をひそめ声を上げたあと、
「何とも思ってるわけないだろっ! 俺はネス一筋なんだからっ★」
胸を張って断言した。
「そういえばそうだったわね。その分あたしはアメルと仲良く
なったけど、結局友達だし……って、そーじゃなくてっ!」
「そうじゃなくて?」
「あたしがきいてるのは、イオスが男と女、どっちだと思う? ってことなの!」
「ああ、なんだ。最初からそう言えよ」
「あたしたちって、いわば分身じゃないの。ツーといえばカーって、
伝わるもんだと思ってたのよ」
「いや、俺のツーカーはネスとだから★」
「最初すれ違いまくってたじゃない」
「今(ネスED後)はもう、ばっちり★」
<注3:えー、そういうわけで、マグナはこれからネスと約束した
旅に出ます。その前に先輩たちにあいさつしておこう、とここにいるわけですね。
でもって、トリスとアメルはその二人の邪魔をしについて行くという……(ぉい)
旅の間、大樹の護人はアグラ爺さんその他に任せてます>
「はいはい。のろけと説明はいいから、ちゃんと話を進めてよね。
男と女、どっちだと思う?」
「俺はフツーに男だと思ってたぞ。一人称『僕』だし」
「そこが返って怪しいんじゃないのよっ!」
「えっ?」
突如トリスは天空に向かって握りこぶしをかかげた。
無限回廊を一周目しか回ったことのないマグナには、
到底たちうちできない三周目を三回まわった者のこぶしである。
<注4:一応、一周目プレイのマグナ(霊)と二周目のトリス(機)が
基本になってます。あくまで「基本」ですけどね>
「あの容姿なら普通一人称は『私』よっ! それをあえて『僕』にする……
これには理由があるに違いないわっ!」
「……それって、すごい偏見じゃないか?」
「そう? すごく論理的だと思うけど」
「……」
「と、いうわけで、今からそれを確かめに行くわよ、レッツゴー!」
こうなったトリスは俺には止められない……
マグナは心の中で呟いた。
確かめる方法1:直接本人にきいてみる
「あれ? イオスって自由騎士団の任務でここにはいないんじゃ……?」
「何言ってるのよ。その任務の途中で近くに来たからって、
ルヴァイドと二人今日はここに泊まるのよ」
「あっ、そうなんだ」
「金の派罰から援助を受けてるっていっても経費は節約するに
こしたことはない、とかネスみたいなこと言ってた」
「う〜ん。最初の旅が始まったころを思い出すな〜」
「あ、ほら、いたわよ!」
マグナとトリスの二人は、ちょうどよく廊下を歩いて来たイオスをゲットした。
「ねぇねぇ、イオス!」
「なんだ、トリス?」
「イオスって、本当は女なの?」
「……」
「今教えてくれたら、『レオルドのドリルでマッサージ♪』を
無料体験させてあげるわ♪」
「そんなことされたら死ぬだろう、というツッコミはおいておくが、
僕は男だよ。その手の質問にはうんざりしていたんだが……まさか、
君にまできかれるとはね」
イオスはトリスを一瞬冷たく睨みつけると、スタスタと歩き去っていった。
「う〜ん、やっぱりガードが固いわねっ!」
「というか、いきなり本人にきくっていうのが、間違ってたんじゃ……?」
次の作戦(?)を練り始めるトリスには、マグナの呟きは当然のように
無視されるのであった。
確かめる方法2:聞き込み
「聞き込みって誰に?」
「決まってるじゃない。イオスのツーカーよ♪」
「ああ、なるほど。たしかにイオスのことならなんでも知ってそうだよな」
「なんでもってそんな……マグナってば、意外といやらしいこと言うわね」
「?」
なんて会話をしていると、イオスが向かって行ったのとは反対側の廊下から、
イオスのツーカーことルヴァイドがやって来た。
「ねぇねぇ、ルヴァイド!」
「なんだ、トリス?」
「イオスって、本当は女なの?」
「……」
「今教えてくれたら『フレイムナイトのジップトーストで火渡り♪』を
無料体験させてあげるわ♪」
「それはアグラバイン殿に勧めてくれ、というのはここだけの話に
しておくが、イオスは男だ。あいつはその手の質問にはあきあきしているからな。
くれぐれも本人に聞かないよう忠告しておくぞ」
それだけ言うと、ルヴァイドもすたすたと歩き去って行った。
「む〜。主従そろって隠蔽する気ねっ!」
「……本当に男だ、って結論にはならないんだな?」
このマグナの呟きには反応が返ってきた。
「ない!」
きっぱりと。
確かめる方法3:のぞき
「って、それは犯罪だろ、トリス!?」
「何いまさら慌ててるのよ。あたしたち、もうアメルやネスの着替え
のぞいてるじゃない? 問題なーいない!」
「フォルテがうつってるぞ、トリス。は、いいとして、
俺とネスはツーカーだから、のぞこうがのぞかれようが気にする必要はなしっ★」
「分かったから、その話はもういいから。とにかく、偶然をよそおって
着替えの現場に乗り込むのよっ! マグナじゃやばいだろうけど、
あたしだったら女同士で平気だから」
「だからー、女って決めつけるのは……」
マグナのセリフは、バンッと近くのドアが開くことで中断された。
廊下を歩きながら話をしていた二人は、音のしたドアの方を
反射的に振り向く。そこに立っていたのは――
うつむき、肩を震わすイオス!
「そういう話を……」
すぅっと、イオスは背中から槍を取り出した。
「本人がいる部屋の前でしてるんじゃな――――――――いっ!」
「きゃぁぁぁぁっ!?」
「な、なんで俺まで!?」
それから数時間、マグナとトリスは凶槍に追われ続けた。
確かめる方法4:このチャンスを逃すなっ!
はぁ、はぁ、はぁ……
マグナ、トリス、イオスの3人は、ギブソン・ミモザ邸の玄関前で
荒い息をついていた。
3人は追いかけっこを続けるまま、大草原経由でファナンまで南下し、
モーリンの家で一息ついてから、再びここまで戻ってきていた。
息が上がって当然である。
「さ、さすがね、イオス。はぁ、はぁ」
「脱走歴一万とんで500回の俺たちについてくるなんて。はぁ、はぁ」
「君たちは、はぁ、一体1日に何回、はぁ、脱走したら、はぁ、
そんな回数脱走できるんだ?」
「ごめん、今の数てきとーだから。……すぅ、はぁ〜〜〜」
マグナは小きざみな呼吸をやめ、大きく深呼吸した。
トリスも同じようにして息をつく。
そして、腕で額の汗をぬぐうとほがらかな笑みを浮かべ、
「すっかり汗まみれになっちゃったわね。これはおふろに入らないと!」
『えっ?』
マグナとイオスの声が同時に上がる。
「さぁ、イオス」
がしい、とトリスの手がイオスの肩をつかんだ。
その迫力に、何度も死線をくぐりぬけてきたはずのイオスが
恐怖の表情を浮かべる。
「あ、けど……」
マグナは、二年前にイオスとフロト湿原で戦ったときのことを思い出した。
「イオスって、ゼルフィルドに自分ごと撃て、って言った時も震えてたよな」
「こ、こら、マグナ! 唐突に何を述懐してるんだ!?」
「あっ、今度は赤くなった」
「――――――っ!」
「ちょっとマグナ、変な茶々入れないでよ。あたしの話が進まないじゃない!」
「ご、ごめん!」
マグナはボワで沈黙をかけられる前に、自分の手で口をおおった。
今のトリスには、それくらいするんじゃ、という雰囲気があった。
「さて、と」
トリスはこほん、とせき払いをし、イオスの方へ笑顔で向き直った。
みょ〜、にすごみのある笑顔で。
「男だって言いはるんなら、マグナとおふろに入って裸のつきあいを
してくるのよっ!」
「え〜〜〜――――――っ!?」
と大声を上げたのは、イオスではなくマグナだった。
「ちょっとマグナ、なんでイオスじゃなくてあんたがそんな声上げるのよ?」
「だ、だって、俺の操はネスの……」
「いっしょにおふろ入るだけでしょ。問題ないわよ」
「そうかな〜? だってネス、オレがパッフェルさんの話してて
赤くなったって聞いただけで……」
言葉の途中でマグナは真っ青になって震え出した。
「ああ、そういえばそんなことも……」
と、トリスも同意しかけたが、
「今はすっぱり忘れておこうね、うんうん!」
なにやら一人でうなずいた。
「わ、忘れろったって……がくがくぶるぶるブルー」
マグナが真っ青になっていた顔を、いっそう濃くするのを見て、
トリスは神妙に説得を始めた。
その間にイオスが逃げられるかというと、そうもいかない。
イオスの肩は、トリスの両手でがっちりと固定されたままだった。
「……君たちは一体何をしているんだ?」
説得が1分に及ぶかどうかといったところで、心底呆れた声が3人にかけられた。
マグナが振り向くと、そこにはネスティが立っていた。
「あっ、ネス〜っ!!」
マグナは慌ててトリスの腕をかいくぐり、親愛する兄弟子に駆け寄った。
ちょっぴし涙目(ェ?
「実は……」
マグナは事の顛末をネスティに説明した。
すべての話を聞き終えると、ネスティは大きなため息をつき、
いつもの言葉を吐き出した。
「君たちは馬鹿か?」
「ネ、ネス! それって、俺も含まれるのか!?」
「……一応きいておくが、そこに僕は含まれないんだろうな?」
「もちろんイオスは含まれないよ。馬鹿な弟弟子たちを野放しに
したことについて、謝らなければならないくらいだ」
「野放しって……」
「そんな犬みたいな……」
「マグナ、トリス、黙るんだ。それからトリス、早くイオスを放さないか」
「む〜……」
兄弟子の睨みにはさすがに耐えられないようで、トリスはイオスを開放した。
イオスがネスティに詫びを入れられ、肩をさすりながら去って行った後、
ネスティは早速二人をその場(地面)に正座させた。
お説教の始まりである。
「まったく、君たちときたら、いつもいつも……」
「ネ、ネス! 俺は被害者だって! トリスがムリヤリ……」
「ちょっと、マグナぁ! 今更それはないんじゃないの!?
あたしたちはいわば分身! 泣くときも笑うときも、涙と腹痛は半分コよ!」
「腹痛くなるまで笑わなきゃいけないのか?」
「もちろん!」
「こら、2人とも、話を脱線させてうやむやにしようとするんじゃない!」
「ちっ。ばれてたのね!?」
「えっ? そうだったのか?」
「まったく……」
ネスティは再び深いふか〜い、ため息をついた。
「む〜……ネスはイオスが男か女か気にならないの!?」
「ならない」(きっぱり)
「何よ何よ! ネスは探求心を持つことが悪いことだって言うの!?」
「同じ探求心なら、もっとためになることを探求するんだな」
「む〜……」
「それに、マグナからきいた話によると、君はマグナとイオスを
無理矢理いっしょにふろに入らせようとしていたんだな?」
「そんな、ムリヤリだなんて。イオスが自分を女だって認めてくれたら、
ちゃ〜んとあたしの方が裸のおつきあいしてあげるつもりでいたし」
「裸のおつきあいって、女同士でも使うのか?」
「そりゃぁそうでしょ。しょーもないこときかないでよ、マグナ」
「もっとしょうもない疑問でまわりを振り回しているのは、トリス、君だろうが」
「むっ……」
再び脱線へと向かいはじめた会話を、ネスティが見事に機動修正した。
「そもそも、ふろに入りたがらなかったとしても、
その理由が女だからとは限らないだろう?」
「ルヴァイドに操を立ててるから?」
「トリス、君は何でそういう方向に……まぁいい、それも君にとっては
考えられる理由の1つということにしておこう。他にも理由は考えられるだろう?」
「背中にアザがあるとか……」
「昔の僕のように、人に見せられない体だったとか……」
ネスティとアメルの2人は、背中あわせに立ち、悲しげにうつむいた。
「って、アメル、いつの間に!!?」
「はい」
アメルはトリスに問われると、にっこりと微笑んだ。
「洗濯物をしていたら、3人がお話をしてたんで、話しかけるタイミングを
うかがっていたんです」
「つまり、今の今まであたしたちに気付かれずにずっと
立ち聞きしていたわけね……さすがね、アメル!
マグナ、あたしたちも見習って……」
そう言ってトリスが振り向いた先のマグナは、今にもあふれだしそうな
涙で目をうるませていた。
「マ、マグナ?」
トリスの声に答えるではなく、マグナはぽつり、と呟く。
「ネス……」
「?」
「ネスぅ! 今はもう大丈夫だって、オレがちゃんと知ってるから!
そんな悲しい顔するなよネス――――――――――――っ!」
感極まったらしいマグナの目から、滝のような涙のしぶきがほとばしった。
そして――
「こ、こら、マグナ! 痛っ! こんなところで……って、とにかく放さないか!」
さしものネスティも言動が支離滅裂になりかける。
マグナはかまわず「ネスぅ〜!」を連呼しながらネスティの体を締め上げ続けた。
「う〜ん、熱いわねー。マグナがあれだけのろけるのもうなずけるかも」
「本当にそうですよね……」
そう言って二人を見つめるアメルの瞳は、トリスのものとは違った
表情を浮かべていた。
「アメル……」
トリスはぎゅっとこぶしを握りしめ、
「あなたにはあたしがいるわっ! だからそんな悲しそうな顔しないで!」
「キャ、キャァ!? ト、トリス!?」
「……あれって、な〜んか間違ってると思わない?」
「いろいろあるんだよ、うんうん」
マグナたちの見送りにやって来た冒険者の二人組が、
玄関先の光景を目にしてそんな会話をしたそうな。
< 完 >
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