「――ウィーク!?」 ロンの悲鳴。 「仲間をかばって一発でノックダウンか。お粗末なもんだなぁ」 つばをはきすてる男。 カートは…… 「ウィ……」 ぼうぜんと足元の白い法衣を見つめ、 「ウィーク!?」 酒ビンを踏み散らしウィークを抱き起こした。 ウィークは生まれつき体が弱い。 彼を殺すのに毒もナイフも強力な魔法も必要ない。 野盗ごときの素手の一撃が致命傷になる―― 巨大な恐怖で――大切なものを失うというこれ以上にない恐怖で、 カートの酔いははじけとんでいた。 震える手で、愕然とした色のない目で、ウィークの症状を確認する。 血が出ているの口からだけではなかった。倒れたときに割れたビンで、 手や頬にもいくつかの切り傷がある。 息は―― 「大丈夫。ちゃんと呼吸してるわ」 いつの間にこんな近くに来たのだろう。ロンがウィークの口に手をかざしながら言った。 「ウィークのこと頼む……」 カートはぽつりと呟くと立ち上がった。 |